織田信長が今川義元を破った桶狭間の戦い(一五六〇年)の舞台とされる名古屋市緑区で、徳川家康(当時は松平元康)を加えた三人がそれぞれたどった道を「桶狭間武将三路」と称して史跡巡りコースにする構想を、地元の桶狭間古戦場保存会が打ち出している。二十五日には、合戦前日に家康が遂行した「大高城兵糧入れ」を再現するイベントを開く。
保存会は、知名度の高い桶狭間の戦いをまちおこしに生かそうと二〇〇八年に設立。一〇年には区内の桶狭間古戦場公園に信長と義元の銅像を建てた。ボランティアガイドにも取り組み、信長の進軍ルート(有松の旧東海道-古戦場公園周辺)を歩くツアーなどを企画してきた。
今回、焦点を当てるのは家康。信長と義元の陰であまり注目されないが、家康は今川方の武将として桶狭間の戦いの前哨戦に加わっている。
尾張攻略のため大軍を率いて大高城に向かっていた義元は、織田軍から大高城を守るため兵糧を届けるよう家康に命じた。家康は敵の注意をそらせる陽動作戦でこれを成功させ、翌朝には織田軍の丸根砦(とりで)を攻め落とした。義元はこの勝利に気を良くしたが、桶狭間で信長の急襲を受けて討ち死にしたとされる。
保存会の高瀬喜祥副会長(69)は「当時十九歳の家康が大器の片りんをうかがわせる活躍をしている。桶狭間の戦いの新たな切り口としてアピールできれば」ともくろむ。
二十五日は、家康が兵糧を運んだ「大高道」を参加者と歩く。午前十一時に緑区桶狭間神明の公民館を出発し、大高緑地の南を抜けて大高城跡に至る四・五キロのコース。米俵を載せた馬や、甲冑(かっちゅう)姿の会員らが隊列を組んで兵糧入れを再現する。高瀬さんは「桶狭間の戦いで三人の武将の運命が大きく変わった。家康の気持ちに思いをめぐらせながら歩いてもらえたら」と話す。
参加無料で、午前九時半から受け付けを始める。問い合わせは保存会の中村義男さん=電052(622)9435=へ。
中日新聞:「家康」の兵糧入れ再現 緑区で25日イベント:愛知(CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20121120/CK2012112002000042.html