力 家庭菜園で広まる
名古屋市緑区大高地区に江戸時代から伝わる野菜「大高菜(おおだかな)」の普及に、地域住民と行政が協力して取り組んでいる。大高菜は交雑して本来の形質が失われやすく、国際的なNPOが「絶滅危惧」の食材に認定している。地元では「地域の伝統の野菜を絶やさないように」と、家庭菜園で育てる人が増えている。【式守克史】
◇手間かかる栽培
アブラナ科の葉野菜の大高菜は長さ約50?90センチ。10月ごろに種をまき、12?2月ごろに収穫する。葉の形はギザギザで、香りが強いが、くせのない味で食べやすい。正月の雑煮の具材に使い、春には花芽を摘んで、からしあえにする。
愛知県の伝統野菜35種の一つで、江戸時代末期の文献にも地元の名産として登場する。
だが大高菜は他のアブラナ科と交雑しやすいため、同科の植物の花粉が飛んでこない場所で栽培する必要があり「手間がかかる割に単価が安く、傷みやすいので、ほとんど流通していない」(JA関係者)。旬の時期に地元のスーパーでわずかに販売されるだけだ。
◇危機食材に認定
国際的なNPO「スローフード協会」(本部・イタリア)は2010年、大高菜について「都市化や収益性の低さから姿を消している」と、将来的に絶滅の危機にある食材「味の箱舟」に認定した。
先祖代々、庭先で大高菜を栽培し、種子を管理してきた地元の主婦、山口美智枝さん(61)は「大高菜を知らない人が増えている。地元の伝統野菜を多くの人が知り、味わってほしい」と話す。
◇種を無料で配布
緑区役所は、09年から大高菜のPRに力を入れ、区民まつりで種を無料配布し、広報誌で特集記事を載せた。地元のパン店は13年から、大高菜を生地に練り込んだパンを冬限定で商品化している。
区役所が昨年10月に住民にアンケートした結果、190人が「継続して栽培している」「栽培したことがある」と答えた。緑区緑農政係の星野雅子主事は「関心が高まっている。もっと大高菜を広めたい」と手応えを感じている。
◇味の箱舟
スローフード協会が▽地域の生活と深く結びついている▽限られた生産量▽遺伝子組み換えがない??など、世界共通のガイドラインで認定する食材。2004年にスローフードジャパンが発足し、日本では大高菜のほか、岐阜県美濃加茂市の堂上蜂屋柿(どうじょうはちやがき)など39種類の食材が認定されている。
大高菜:名古屋の伝統野菜 「絶滅」させない - 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20150221k0000e040222000c.html
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