名古屋市緑区の集合住宅で8日午後10時50分ごろ出火し、焼け跡から2人の遺体が見つかった火災で、建物は廊下の両側に3畳一間の居室が並び、生活保護を受けている高齢者を中心に22人が入居していた。毎月の支払いは家賃3万5千円と食費2万5千円、雑費光熱費2万5千円の計8万5千円。実態は社会福祉施設の無料低額宿泊所だが、管理会社は社会福祉法に基づく届け出をしていなかった。
この会社は建物を「高齢者向け福祉賃貸住宅」と説明し、チラシなどで入居者を募集していた。ただ、名古屋市保護課は過去の調査などを踏まえて「無料低額宿泊所だった」と指摘。社会福祉法は宿泊所の事業者に対して建物の構造図を提出することも義務付けており、市に届け出があれば年1回の現地調査などで防火設備をチェックできた可能性があった。
市が昨年6月末に実施した調査では、運営実態や防火体制が不透明な市内の無届け宿泊所はこのビルを含めて69施設に上り、計約1500人が生活していた。2008年秋のリーマン・ショック以降は社員寮の空室対策として建設業者が参入するケースが目立っている。
一方で、無料低額宿泊所は法的な定義が曖昧で無届けでも罰則がなく、施設側が「うちは福祉施設ではなく、ただの民間の賃貸契約だ」と言い逃れするケースが多いという。
無届け、無料低額宿泊所 罰則なし、市は設備点検できず:社会:中日新聞(CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015030990163155.html