名古屋市緑区の県営公園「大高緑地」に来年七月にオープンする恐竜のテーマパーク「ディノアドベンチャーライド名古屋」の計画に、公園利用者の一部から疑問の声が上がっている。自然環境への影響や騒音を心配する人たちが「大高緑地を愛する会」を結成し、十日までをめどに署名活動を始めた。
県公園緑地課によると、施設は大高緑地の北西部にある若草山の西側約三・二ヘクタールの雑木林に整備。実物大の恐竜の模型約三十体がほえたり、動いたりする様子を自動カートや徒歩で楽しむ。施設の周囲は柵が設けられ、外から入れないようにする。隣接する駐車場から若草山につながる小道も通れなくなる。
若草山を活動場所にゼロ歳児から年長児までの約六十人が通う自主保育グループ「あおぞら」にとって、雑木林は子どもが自然に触れる学びの場。計画は寝耳に水で、深尾真理子代表(58)は「小鳥のさえずりが聞こえる場所に、ガオーという音や人工物の恐竜はいらない」と話す。
民間活力の導入を進める県の公募で「ディノアドベンチャーライド名古屋」が事業候補と決まったが、利用者や周辺住民、地元の緑区役所に事前説明がないまま、十月に計画が発表された。県の担当者は「園内の話なので、住民から意見を聞くことは考えていなかった」と認める。
「大高緑地を愛する会」の溝口江理子代表(63)によると、雑木林から駐車場を挟んだ森にはオオタカが営巣している。オオタカは種の保存法で希少種に指定され、生息地の土地所有者に対し、「保存に留意しなければならない」と義務付けられる。県の担当者は「事業地内には営巣していない。影響がないよう配慮する」と話す。
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集めた署名は県に提出する予定。溝口さんは「全てを中止するのは難しいかもしれないが、園内で場所を変えられないのか。利用者も県も事業者も納得できるよう、意見を聞く姿勢を持ってほしい」と求めている。
大高緑地の恐竜パーク計画に疑問の声 公園利用者「自然が学びの場」:愛知:中日新聞(CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20151108/CK2015110802000049.html