50年以上の歴史を持ち、東海地方を中心に活動するプロ人形劇団「むすび座」(名古屋市緑区)。新型コロナウイルスの影響で運営資金不足になり、インターネットのクラウドファンディング(CF)で15日まで支援金を募っている。

むすび座は1967年設立で、現在35人の劇団員がいる。全国の幼稚園や小中学校などで年に約1千回公演し、17万人以上を動員する。韓国やカナダなどにも出向き、戦争がテーマの大人向け人形劇で原爆を扱った「父と暮せば」(井上ひさし作)などにも取り組んできた。

だが、コロナ禍で2月から公演キャンセルが相次いだ。4、5月は全く公演ができず、420公演以上が中止になった。劇団員は家で1人で稽古を続け、オンラインで新しい台本の読み合わせをしてきた。代表の大野正雄さん(48)は「人形劇はアンサンブル。実際に会ってあわせないと本当の稽古は出来ず、苦しい期間だった」と話す。

集まっての稽古は6月ごろから再開し、公演も少しずつ入るようになったが、6千万円以上の損害となった。公演収入が劇団の収入の8割以上を占めるという。大野さんは「公演はなくても、団員に給料は支払わねばならない。かなり運営は苦しい」と明かし、1千円から参加できるCFをやってみることにした。

7月からはじめ、支援してくれた人への返礼品として、金額に応じて人形を手作りするキットや、団員手作りの人形、記念グッズなどを用意した。支援した人からは、「小さい頃に劇を見て感じたあたたかさは今も心に残っており、劇団を絶やしてはいけないと思った」などのメッセージが寄せられているという。

CFでの支援は15日までで、銀行振り込みでも寄付できる。これまでに800万円以上の支援が寄せられたが、目標金額の3千万円には届いていない。大野さんは「コロナ禍で子どもたちこそ不安を抱えている。支援を受けてなんとか劇団を生き残らせ、子どもたちの心を動かす劇をこれからも届け続けたい」と話している。詳細は劇団ホームページへ。問い合わせは、むすび座(052・623・2374)。(藤田大道)

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老舗人形劇団コロナでピンチ ネットで支援募る [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASN9B6WKPN99OIPE025.html
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