旧東海道沿いに古い町並みが残る緑区有松地区が来年二月にも、名古屋市の伝統的建造物群保存地区(伝建地区)に指定される。二〇一六年度中には、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)にも選ばれる見通し。高齢化や空き家などの課題が増える中、地元住民は、市や国の後押しを受けながら、町並みの保存と、さらなる活性化に取り組む。
有松は、江戸時代に絞り染めの産地として栄え、豪壮な町家などが残る。近年は観光地として注目を集める。市歴史まちづくり推進室によると、伝建地区に含まれるのは主に戦前に建てられた約四十棟。指定されると、外観の修理や建て替えに許可が必要となる一方で、費用の補助や税の減免が受けられる。
市は、名鉄名古屋本線と国道1号に沿って同地区を囲む形で、現在ある有松駅南地区計画区域の拡大も検討している。区域内では、建物の高さや外観を制限し、パチンコ店などの出店を禁止して景観全体を保護する。
伝建地区と地区計画区域の案は今月、地元の説明会で報告された。来年一月の審議会で審査され、二月にも指定される。その後、市が国に重伝建への登録を申請。認められれば、補助のうちの半分を国が負担する。重伝建は、県内では豊田市足助地区に次いで二件目となる。
建物維持の負担がのしかかっている住民にとって、指定は悲願。旧東海道沿いの有松絞問屋「井桁屋」の服部豊さん(86)は、「ようやく願いがかなう」と感慨深げに語る。約三十年前から保存活動に取り組み、現在は「有松まちづくりの会」の会長として指定に向けて尽力。「まず景観を壊さないようにして、絞りの文化を中心にもっと歴史を発信していきたい」と意気込む。
市歴史まちづくり推進室の担当者は「指定をきっかけに、町並みが経済的に維持できる仕組みを考えたい」と話す。空き家を店舗や事務所に変えたり、新しい住民を呼び込んだりすることなどを検討していく方針。重伝建選定を弾みに、イベントなどで観光地としてもアピールしていく。
有松の町並み保存後押し 名古屋市、伝建地区指定へ:愛知:中日新聞(CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20151229/CK2015122902100001.html
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