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[中日]<ずっと支えたい 発達障害者支援法10年>(中) 医師の診断能力(2015/4/21掲載)

前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2015/4/21 12:02
narupara  管理人   投稿数: 7555
「時間の流れを、目で見えるように形にするのがこつです」。発達障害児の母親に、早川星朗医師(47)が説明する。手には、着替えや通院、帰宅など、日常の行動を絵にしたスケジュール表。言葉の指示をよく理解できず混乱しやすい子が、先の見通しを付けやすいように、家庭で簡単に作れる支援ツールだ。

名古屋市緑区にあるロイヤルベルクリニックの発達障害外来。早川さんは初診で一時間かけて保護者から話を聞き、別室で臨床心理士や言語聴覚士が子どもの行動を観察する。綿密な診断評価書を作成し、次回の受診で再び一時間かけて診断の根拠を説明。その子に合ったコミュニケーション支援の方法を教える。

新たなツールの開発は目覚ましく、待つことが苦手な子には「残り時間」が分かるタイマー。学習障害の子が漢字の練習をするパソコンソフトなどが作られ、成長の手助けになってきた。

発達障害の子を診る医療機関も増え、かつてのような「初診まで一年待ち」といった状況はなくなった。ただ「その子の特性や、抱えている不安をきちんと診られる医師が増えたかは疑問」と早川さんは話す。

医師の榊原洋一お茶の水女子大副学長(小児神経学)も、医療界全体で診断能力は上がってきているとしながらも、「発達障害の診断は医師による行動観察が必要で、障害と考える範囲や薬物治療に関する考え方など、医師によって診断に幅があるのが現実。結果的に患者が混乱に陥りやすい」と課題を指摘する。日常生活支援への視点も重要なため、医師が学校で子どもの様子を見る機会を積極的に持つ必要があるという。

愛知県心身障害者コロニー中央病院(同県春日井市)の小児精神科医吉川徹さん(42)は「発達障害の人が統合失調症患者の数倍いる現状を考えれば、一部の専門医だけで対応できる時代ではなくなった」として、医師向けの研修会を開くなど質の向上に努めている。

一方、吉川さんが気になるのは薬の問題だ。混乱して暴力を振るったり、自傷行為に走ったりするような強度行動障害につながる問題が起きたとき、教師や福祉関係者が対応できる技術を持っていないと「薬を出してほしい」と医師に求めることが多い。診断に不慣れな医師ほど、安易に処方してしまい、大量投与に結びつくこともあるという。ただ、昨年度から強度行動障害の支援者養成研修が全国で始まっており、「薬への過剰な期待は、これから減っていくのでは」と話す。

精神科でも成人の発達障害を診る医療機関が増えてきた。「いま感じている生きにくさは発達障害が原因かも」と受診する大人が増えたこと、成人期の注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療薬が二〇一二年に保険適用されたことが要因だ。

だが北里大精神科の宮岡等教授は「発達障害が注目されすぎて、診断の混乱が起きている」と指摘する。同大東病院(相模原市)には成人の発達障害の専門外来があるが、クリニックなどから紹介されてくる患者のうち「発達障害の診断がつくのは一、二割程度」という。治りにくいうつ病の患者を「発達障害」と誤診する医師もいる。

宮岡さんは一三年、児童精神科医の内山登紀夫・福島大教授とともに「大人の発達障害ってそういうことだったのか」(医学書院)という対談形式の本を出版し、大きな反響を呼んだ。

「一般精神科医が児童を診る、児童精神科医が大人を診るといった交流を大学病院などの教育施設で進めていくことが、重要だと思う」と話す。

<ずっと支えたい 発達障害者支援法10年>(中) 医師の診断能力:暮らし:中日新聞(CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2015042102000007.html

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