「面子なんて関係ない」軍爭濟船重欲沒

軍は争いて済るに船に重く没めんと欲す

―軍争済船重欲没―

[原文](三国志 魏書 許褚伝)
軍爭濟船重欲沒
[書き下し文]
軍は争いて済(わた)るに船に重く没めんと欲す
[原文の語訳]
軍兵は我先に渡ろうとしたので船は重さのため沈没しそうになる。
[解釈]
川を渡って撤退する自軍に対して相手からの攻撃の勢いが凄まじく、兵士たちが先を競って船に乗り込もうとしたために船が転覆しそうになったということです。
虎士と言われた勇敢な許褚の部下たちでも、雨のように降りかかる矢の前に果敢さなど投げ捨てて、死に物狂いで逃げようと船に殺到しています。
この後、許褚は曹操を守るために船に掴まっている兵の腕を切り落とす残虐な一面を見せます。トップを守るために長年生死をともにした部下を止む無く見捨てるのですが、もちろん、その中に自分も含みます。自分の身を呈して曹操を守り通したのです。
組織やトップを守るために部下を切り捨てる非情さが悲痛ですが、その後の自分の面子など関係なく、いま目の前で守るべきものを守るという強い意志があるのです。
統率力のあるリーダーであっても混乱の中では、その能力が相殺されてしまう場合があるのです。それだけ相手が驚異となることも考慮する必要があります。いざという時には苦渋の決断で切り捨てる勇気も必要です。
[参考]
中國哲學書電子化計劃字典

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