子どもの頃、成海神社の定期市にはよく出かけました。
ラジオの中継もやったりして見学したこともあります。
記事中にある旧鳴海球場に向けた道上に市が開けていたことは、自分の生前のことなのか記憶にないのか、知りませんでした。
名もない、路傍の小市である。
名古屋市緑区鳴海町に私の仮宿がある。このあたりには、一の日、二の日、三の日と、開市の場をかえて、移動する巡回商人と在の人による定期市が残っている。名鉄鳴海駅から、県道松本名古線にそって約五分ばかり行くと、三叉路がある。旧鳴海球場への左右の道端に出店がある。
二の日と、七の日に開する「六斉市」である。朝一〇時頃からの開市で、毎回の出店数はさほど多くはない。二〇店ばかりの小市である。 果実・野菜・花卉の季節物や、塩乾魚介類や日用雑貨・瀬戸物・荒物と、わりあい商品の種類は多い。近くに公設市場やスーパー・マーケットがあるので、競合するものが多い。それでも、子供づれの買物客で、けっこう賑っている。しかし、口上のタンカを切る店はない。商人も買手も毎回常連で、必要がないのかもしれない。
近時、この市は交通事情から、路傍をはなれて、東北方向へ約五分ばかりの成海神社境内に、開市場を変更している。郊外地とも考えられるこの地域にも、自動車公害の波がおしよせてきたわけである。巡回商人の足はライトバンであった。
このような、定期市は、近くの有松町や大高町にも残存しているが、名古屋での場合、戦後の定期市は社寺の門前か境内にしか安住の場がないように思われる。
国立国会図書館デジタルコレクション
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