「昔の良い言行を手本に」識前言往行、以蓄其徳

前言往行を識して、以ってその徳を蓄う

―識前言往行、以蓄其徳―

[原文](易経 象伝 山天大畜)
君子以多識前言往行、以蓄其徳
[書き下し文]
君子以って多く前言往行(ぜんげんおうこう)を識(しる)して以ってその徳を蓄(やしな)う。
[原文の語訳]
君子は昔の聖賢の言葉や行いを学び、それをもとに自らの徳を養うものである。
[解釈]
「前言往行」とは「昔の人の言葉とおこない」という意味で言行録とも言われます。
言行録を通じて優れた先人の言動を見習い、近づくように努力することで徳を身につけていくことができるのです。
中国古典では「論語」「貞観政要」「近思録」「宋名臣言行録」、国内でも「言志四録」「養生訓」など多くの言行録があります。ことわざや故事成語、四字熟語などいまでも使われる言葉もこれらの中から出てきたものが少なくありません。長く読み継がれているということは超ロングセラー、それだけ名著なわけです。
ただ読むだけ、知るだけではダメ、実際に行動することで身につくということも、先人が教えてくれたことです。
古い書物なので例えも現代に合わない場合があるので、そこは読む側で時世や状況を置き換えて、現状にあった解釈あるいは言動にしていく必要はあるはずです。自分としてはこの「今日の一言」もその足がかりにしようとの思いで更新しているのです。
「歴史は繰り返す」と言います。ということは同じ状況になった時にどうするかは古い書物を見るとヒントが隠されているということでもあります。地震が多発している昨今、いわゆる古文書に発災時の記録が記されていることが注目されています。それも先人が後世に残してくれた貴重な「言行録」なのです。
[参考]
前言往行を識して以ってその徳を蓄う:原文・書き下し文・意解 言葉の散歩道61 | ナオンの言葉の散歩道
竹村亞希子 OFFICIAL WEBSITE 竹村亞希子の『易経』はやわかり 5.あらゆる時をしめす六十四卦 [乾下艮上 山天大畜]

[中国古典一日一言]

今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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