「無駄なものはない」人皆知有用之用而莫知無用之用也

人みな有用の用を知りて、無用の用を知るなきなり

―人皆知有用之用而莫知無用之用也―

[原文](荘子 第四 人間世編 第十八節)
人皆知有用之用而莫知無用之用也
[書き下し文]
人みな有用の用を知りて、無用の用を知るなきなり
[原文の語訳]
人はみな有用の用を知るが、無用の用を知るものはない
[解釈]
無用だと思われているものこそ、実は有用なのです。無くても困らない、けど、あるから役に立ってことになかなか気づかないだけです。
「なんでここにあるんだろう?」と何の役にも立ちそうにもないものがそこにあり、不思議に思ってどけてみると「あ、なるほど」とはじめてそこにある意味に気づくことがあるのです。
子どもの頃はよく「歴史を学んでどうするのか」など勉強することへの疑問が浮かびますが、歴史を勉強することで失敗を繰り返さない、反省する、過去と現在はつながっているということを学びますし、漢字も成り立ちを覚えれば、用途に適した漢字を選ぶことができるようになるのです。
パッと見て簡単に使い方が分かる道具よりも、何に使うかわからない道具のほうがあれこれ使い方を考えて、新しい使い方を発見することがあるのです。
車のハンドルにあそびがあったりするのも良い例かもしれません。折りたたみ式の携帯電話も無駄な発明と言われましたが、いま、スマホやタブレットには扉付きのカバーを多くの人が使っています。傷防止や誤ってボタンを押さないようにするためには役に立つのです。
表と裏、陰と陽があるように、無用があるから有用があるという考え方もできます。また、できる人は無用の長物からでも有用な部分を見つけ出すことができるのです。
「無駄な時間を費やしや」とか「無駄な努力だった」と思う時がありますが、その時間を使って何か普段はしないような別のことをやっていたとか、後々役に立つようなことを実はやっていたのかもしれません。そう考えると決して無駄ではなかったのです。
[参考]
人みな有用の用を知りて、無用の用を知るなきなり:原文・書き下し文・意解 | ナオンの言葉の散歩道
「無用の用」の意味って?2ステップで簡単に理解! | KENブログ

[中国古典一日一言]

今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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