「利他による忙しさに」彼汲汲於名者、猶汲汲於利也

名に汲汲たる者は、猶を利に汲汲たるが如し

―彼汲汲於名者、猶汲汲於利也―

[原文](諫院題名記)
彼汲汲於名者、猶汲汲於利也
[書き下し文]
名に汲汲(きゅうきゅう)たる者は、猶(な)を利に汲汲たるが如し
[原文の語訳]
名誉に対し一所懸命になっている者は、さながら利欲に対し一所懸命になっているようものである
[解釈]
老年期になって名誉欲を欲しがる人は、まるで壮年期に利欲にかられて忙しくしている人のようだということです。
ある程度私腹を肥やすと、人は私腹を糧に名誉を求めるようになります。交友関係においても交際費に糸目をつけなければ、上の地位層との接点が大きくなり、それを自慢気に話すことで周囲が誤まりが生じ、媚びることに因ってさらに本人が勘違いをおこし名誉欲を欲しがるようになり、欲には際限がありませんから、自分で次々と組織を立ち上げその代表の座に就き、自分で自分を忙しくするのです。
利欲がない実直な人には、本人にその気がなくても自然と役職や肩書がついてくるもので、それによる忙しさに対しては周りはきちんと理解してくれます。
利他を主とした実のある役職や肩書と、利己を主とした実のない役職や肩書では名誉の質も自ずと違ってくるのです。
後世に自分の名前を残したい名誉のために実のない利己主義に走るトップには困りものです。
[参考]
諫院題名記

[中国古典一日一言]

平成27年(2015年)5月1日から平成28年(2016年)4月30日までの今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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