「欲望を減らして人として成長しよう」養心莫善於寡欲

心を養うは寡欲より善きはなし

―養心莫善於寡欲―

[原文](孟子)
孟子曰、養心莫善於寡欲其爲人也寡欲、雖有不存焉者、寡矣。其爲人也多欲、雖有存焉者、寡矣。
[書き下し文]
孟子曰く、心を養うは寡欲より善きは莫し。其の人となり寡欲なれば、存せざる者有りと雖も寡なし。其の人となり多欲なれば、存する者有りと雖も寡なし。
[原文の語訳]
孟子が言う。心を成長させるのには、欲望を少なくするのが最上の方法である。(欲望にひかれては、存分の精神修養はできない。)欲望の少ない人で、良心のない人はわずかである。欲望の多い人で、良心のある人はわずかである。
[解釈]
あれこれと欲に引かれると心が台無しになる。欲望を減らして人として成長しよう
自己中心的な考えは人間関係を崩壊させる。
むかし桓公が宰相の管仲に「富に限界はあるのだろうか」と質問したところ、管仲は「水の場合で例えれば、水の限界は、その水面より上の水が無くなる所で、富の限界は、富に充分満足した時です。しかし人は自分で満足だと止まることができず、身を滅ぼします。ここが富の限界でしょう」と答えたそうです。
職場などでも「待遇を良くしてほしい」「出世したい」というような欲を強く抱えていると、職場に不満をもったり、同僚でさえ出世の邪魔だと思えてしまう。そうすると人間関係にも疲れてきそうです。確かに欲がないと仕事に精が出ないかもしれませんが、あまりに強くては逆効果になってしまいそうです。
「自分へのご褒美」が後から「やってしまった」となることも。好きな食べ物を食べ過ぎてしまって…とか。薬物もそうですね。煙草もお酒も多すぎると害となります。
処世術としては、老子に「足るを知れば辱められず、止まるを知れば殆(あや)うからず」と、何事もし過ぎると逆に失ってしまう
菜根譚にも「なにごとにつけ、余裕をもって控え目に対処せよ。そうすれば、人はおろか、天地の神々も、危害を加えたり、わざさいを下したりはしない。」と、不足がない程度に足りて、余ることが無い程度が良いと、それぞれ説いています。
「欲望を減らす」と言ってもゼロまでしてしまうと無機質な人間になってしまい、人間味が失われてしまう気がします。なので欲望にも優先順位をつけて「(順位の低い)無駄な欲望は捨てる」という謙虚な考え方が良いのかもしれません。
[参考]
養心莫善於寡欲
漢文から改善方法を学ぶ!人間関係に疲れた時に読みたい言葉|U-NOTE [ユーノート]

[中国古典一日一言]

今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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