平成25年3月16日 雑句話欄

子どもの頃、一年間だけ学校の教室から東海道新幹線が走るのをよく見ていた。高架線路が見える方向の校舎で、四年生の教室は最上階にあったからだ▼平日の午前十時半頃、遥か遠くで当時デビューしたばかりだった二階建て車両が走るのを楽しみにしていた。それ以外でもたまにドクターイエローが走っているを発見するとひとり興奮した▼国鉄時代に製造された中で唯一現役だった新幹線車両、上越新幹線の二百系が十五日の運行を最後にダイア改正とともに引退した。東北・上越新幹線の開通当初から活躍した団子っ鼻でお馴染みの車両がついに姿を消した▼一見だけでは東海道を走っていたゼロ系との違いがわからないが、車両をアルミ合金製で軽量化したり雪除けスカート、雪切り室など雪国を走る条件を考慮して様々な工夫が凝らされていた。国鉄が分割民営化された後には東海道の百系とともに二階建て車両も登場した▼そもそもゼロ系は当初系列番号が存在しなかったが、この二百系の登場により後からゼロ系とつけられたそうだ。同じ新幹線だが電源方式の違いにより東海道と東北・上越新幹線の相互乗り入れはできない▼今後、北海道から九州へ直通する列車が登場したらと思う。だが、恐らくいまあの時見ていた教室からは高架線路を走る新幹線は見ることはできないだろう。校舎の目の前は住宅街となり、線路との約三キロの間には高層住宅などが建設されたからだ。見えるのは近年高架化された名鉄の車両だ。

朝日新聞デジタル:さよなら「団子っ鼻」 東北・上越新幹線200系が引退 – 社会.

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