勝に急して敗を忘るるなかれ
―無急勝而忘敗―
- [原文](荀子 議兵篇)
- 無急勝而忘敗。
- [書き下し文]
- 勝に急して敗を忘るるなかれ。
- [原文の語訳]
- 敵に勝つことばかりを急いで、敗れることを忘れてはいけない。
- [解釈]
- 万が一、破れる場合のあることを想定して、対策を用意してからとりかかるようにする。
- 用意があれば、仮に敗れても、損害を最小限にくいとめることができます
- 「負けるなんて最初から考えるな」といわれそうですが、「負けにつながるミス」はあるものです。そこでどれだけミスを犯さないか、うまくリカバリーできるかを考えておくことも同じ意味だと思います。
- 功を急いだり、常に勝とう、勝とうとばかり考えて、負けることもあることを忘れてはいけない
- 結果を急ぐあまり調査や分析が不十分となり、わずかなミスが大きな痛手とならないようにいくつかのケース、選択肢を用意して挑むようにしましょう。
- 深追いしすぎて、気が付くと引き返しができない状態になってしまっていて、逆襲を受けるということもあります。
- お客さんがたくさん入って盛況で、間に合わないからといって作り溜めをしておいたら急にお客さんが引いてしまって「さてどうしよう」となったり。
- プレゼンはいってみれば「攻め」です。先方から指摘や質問された内容に適切な回答ができないようではいけません。
- サッカーでもボールを相手に奪われた時の次の動きをイメージしておくのとしてないのでは、プレスの加減が大きく違ってきます。
- あまり失敗した時のことばかり考えるとネガティブになってしまうので、対処法はできるだけ少なく効率的な「暫定的」処置を用意しておくという程度でよいのかもしれません。
- 三国志の諸葛亮は名軍師と言われていますが、近年の評論では「負けない戦い方」をしていたと分析されています。たとえ負けても損害を最小限に抑える、ひ弱な軍事力を自認して石橋を叩いて戦に挑んでいたようですし、実際に「成功を夢みるなら、失敗した時のことも考慮に入れておく必要がある」と語っています。
- [参考]
- 無急勝而忘敗 – 氣楽亭 日乗
[中国古典一日一言]
今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。
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