人主の逆鱗に嬰るるなくんば則ち幾し
―無嬰人主之逆麟則幾矣―
- [原文](韓非子 説難)
- 説者能無嬰人主之逆鱗、則幾矣。
- [書き下し文]
- 説者(ぜいしゃ)能(よ)く人主の逆鱗に嬰(ふ)るること無くば、則(すなわ)ち幾(ちか)からん。
- [原文の語訳]
- 意見を述べる者は、君主の逆鱗に触れないようにできたならば、成功を収める事も望めるのだ。
- [解釈]
- 逆鱗(げきりん)に触れるの由来です。龍はおとなしくしている時は、人が慣らせば背に乗る事もできますが、喉もとにある一尺ほどの逆さに生えた鱗を、もし触れると、龍は必ず触った者を殺してしまう。君主も同じだという意味です。臣下の諫言も命がけです。
- 内容を説明するテクニックは練習や経験を重ねれば上達するでしょうが、トップや相手の考えを読みとって、先方の意に沿った形で納得させられる提案ができるかどうかはなかなか難しいものです。同じことを意見しても伝え方によって退けられることも。
- 組織でもトップやリーダーに逆らうとプロジェクトから外されたり、ともすれば左遷されるなんてことも。
- 逆らうだけでなく、期待や職責に見合った活躍ができない場合も同じです。大きなことを言った割に成果を出せないと上司の怒りをかってしまうこともありますよね。
- 野球でも期待に見合った活躍ができなかったり凡ミスをしてしまうと、監督の怒りをかって即二軍落ちというのが良い例かもしれません。
- 無能なトップだと部下も大変です。どこに逆鱗があるかわからず、正当な意見を述べても理不尽に怒りをかうなんてこともありえます。そういう組織からは有能な人は去ってゆくのでしょうが。
- [参考]
- 故事成語・逆鱗(げきりん)
- 正しい内容を上手く説明することは練習すれば、誰でもできます。難しいのは、トップの意を読み取って、自分の案を意に沿った形で提案出来るかどうかが難しいのです。
[中国古典一日一言]
今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。
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