「託す決断」死易、立孤難耳

死するは易く、孤を立つるは難し

―死易、立孤難耳―

[原文](十八史略)
相与謀曰、立孤与死孰難。嬰曰、死易、立孤難耳。杵臼曰、子為其難。
[書き下し文]
相与(とも)に謀って曰く、孤を立つると死すると孰(いず)れか難(かた)き、と。嬰曰く死するは易く、孤を立つるは難し、と。杵臼曰く、子(し)其の難きを為せ、と。
[原文の語訳]
公孫杵臼は、死ぬことと孤児を守り立てて趙の君にすることはどちらが困難だろうか、と尋ねた。程嬰は、死ぬ方が易しく、孤児を立派に育て上げる方が難しい、と言った。杵臼は、あなたがその難儀な方を、やりなさい、と言った。
[解釈]
二者択一、どちらが困難さを極めるかを説いたものです。結果、問いかけた公孫杵臼は、程嬰に孤児を育ててもらうことを託し、自らは孤児の身代わりになった子とともに殺されることを選択します。
自らは脱落を選択する代わりに、できる人に事後を託す決断も必要ですね。
事業では失敗が続いた時に、撤退するのは決断しだいで迅速にできても、成功するまで継続するのは決断だけでなく気力も必要となり困難を極めます。先を見据えていないとできないものです。
自分は悪役になる覚悟で身を引く決断や勇気がいりますね。後継者を育てるために厳しい状況の中であえて降りる。後々まで陰口を叩かれても仕方ない場合もあります。周りに理解してもらえなくてもあえて口にしない。
[参考]
十八史略拾い読み 孰れか難き – 寡黙堂ひとりごと

[中国古典一日一言]

平成27年(2015年)5月1日から平成28年(2016年)4月30日までの今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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