「善悪を矛盾させない」多嘗苦曰甘

大量に苦味を嘗めて甘いと言う

―多嘗苦曰甘―

[原文](墨子 非攻)
少嘗苦曰苦、多嘗苦曰甘、則必以此人為不知甘苦之辯矣。
[書き下し文]
少なき苦を嘗めて苦と曰い、多量に苦を嘗めて甘いと曰く、則ち必ずこの人を以て甘苦の弁を知らずとなさん。
[原文の語訳]
少量の苦味は嘗めて苦いと言い、多量の苦味は嘗めて甘いと言う、つまりこの人は甘味と苦味との区別をわきまえていないのである。
[解釈]
小さい善悪は判断できても、大きな善悪は判断できないということです。
日常での殺人は非難されるのに、戦争でそれをすると非難されるどころか英雄扱いされるという矛盾を説いています。
落書きと芸術の境がよく分からないことがありますね。
車を運転して車が少ないときは法定速度を守るが、交通量の多い道路では自分が渋滞の原因にならないようにと他の車の流れにあわせ、結果として速度違反をしてしまうということです。赤信号もみんなで渡れば怖くない。
薄利多売や赤字ギリギリでも、それなりの利益を得なければ経営は成り立ちません。そのしわ寄せを従業員や下請けが被らせてはいけません。
節約倹約といいながら、必要以外の無駄なところで出費しているようではいけません。道理に則って使うべきときは使う、抑えるべきところは抑えるようにしたいものです。
少量であれば丁寧な作りなのに、大量生産になると質を落としたり雑になってしまう。それでも供給するためには仕方ないという考えは困りものです。できないものは正直にできないと言えるようになりたいものです。
[参考]
中国思想史講義1 諸子百家の思想2.兼愛非攻ー墨家の反戦思想 ? ウェブマガジン プロメテウス

[人を動かす名言名句集―21世紀に生きる]

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