病院のレストランのランチが「健康的で、おいしい」と人気だ。有機野菜を使った低カロリーメニューや管理栄養士から直接、ダイエット食の指導をしてもらえるなど、健康を気遣う人にはうれしいサービスもあり、一般の人も足しげく通っている。
季節の野菜のテリーヌに豆乳のキッシュ、切り干し大根の梅肉ドレッシングあえ:。見た目にも楽しい数々の総菜が一皿に集う。
名古屋市緑区の南生協病院に併設されているカフェ&レストラン「にんじん」の「低カロリーランチ」(千六十円)。七種類の野菜や海藻が入ったみそ汁に、こんにゃく入りのご飯がついて計四百二十キロカロリーだ。
同店は無農薬・低農薬の野菜を宅配する「にんじん」(愛知県小牧市)が運営。病気になりにくい理想の食を目指し、宅配と同じ野菜を使う。八割は一般客という。
だしは有機野菜から作った粉末や昆布を使用。旬の野菜のうま味を生かす。上田武史店長(43)は「旬の野菜は素材のうま味が強く、体が喜ぶ。それが健康にもつながる」と話す。
アレルギーの人も食べられるように乳製品と卵は一切使わない。無農薬の刻み野菜を使った離乳食(百六十円)もある。十一カ月の長女と訪れ、離乳食を注文した同県大府市の主婦山口知香さん(33)は「ちょうどよいやわらかさ。安心して食べさせられる」と話す。
また、大津市民病院(大津市)の食堂では、主菜のほかに四種類の副菜がつく「おばんざい定食」(六百円)が人気。ご飯は少なめで、ヒジキの煮物やホウレンソウの白あえなど食物繊維が豊富で、低カロリーなおかずをたくさん食べられるのが売り。日替わりで、リピーターも多い。
無農薬・低農薬の野菜で作った低カロリーランチ=名古屋市緑区のカフェ&レストラン「にんじん」で
運営する「不動観光」の岩本三四郎社長(50)は「野菜は地元産。多くの食材を食べてほしい」と話す。
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専門的に食と健康を学べる店も。宇都宮市の宇都宮東病院にある「健康食レストラン・サンテ」では、管理栄養士が健康上の要望に応じて、メニューの選択からカロリー計算、食べ方などを教えてくれる。
糖尿病の食事療法を実践する場にと六年前に開店。病院直営で、ランチは主菜に週替わりと肉、魚、カレー、麺類があり、四人の管理栄養士が週替わりで考案。主菜一品と副菜二品、汁物を選べ、どれも一食五百キロカロリー程度に抑えている。
「塩分が多いから、汁は飲まないでくださいね」。管理栄養士の仲島美香さん(31)が、糖尿病を患って通院中の小池良光さん(80)=栃木県芳賀(はが)町=に話し掛けた。
食事制限中の小池さんが選んだのは、きつねうどんと野菜のマリネ、大根のべっこう煮。カロリーは制限内だが、塩分が許容量の二倍だった。ほぼ毎日利用する小池さんは「自炊でも目分量でカロリーが分かるようになった」と喜ぶ。
管理栄養士の手塚穂波さん(37)によると、ダイエット中の人から、やせるメニューや食べ方を聞かれることも。「糖尿病の食事は、他の疾患や一般の人にも対応できる健康食。自分の体と食事のことを考えるきっかけになれば」と話す。
中日新聞:健康的です病院ランチ 併設レストラン:暮らし(CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2014052202000001.html