「地位や肩書に関係なくいつも謙虚に」善用人者爲之下

善く人を用うる者はこれが下となる

―善用人者爲之下―

[原文](老子 下編 第六十八章)
善勝敵者不與、善用人者爲之下
[書き下し文]
善く敵に勝つ者は与わず、善く人を用うる者は之が下と為なる
[原文の語訳]
敵を打ち負かすことに堪能な人は敵とがむしゃらに戦わない、人使いが上手な人は人に対して謙虚にする
[解釈]
不争の徳
力でおさえつけていると、やがて反発を招くことになる。
自分が上位であっても、相手を活かすことで自分も活かされる。
トップに立つ人の回顧録に「部下に対してであろうと温和で物腰柔らか、自分がわからないことは頭を下げて部下であろうと教えを請う」という逸話がよくでてきます。
大勢の人に動いてもらおうと思うならば、指示するだけでなく自分が底辺で動くように心がけて根回し上手になる。
共同で何かを行う場合も、メンバー同士で手柄を取りあおうとはせず、相手に手柄を立てさせてあげる気持ちをもち、自分は脇役・黒子など目立たないよう心がけると、目的を順調に達成するだけではなく、「人を活かして成長させる」自身のリーダー力向上にも繋がりそうです。
会社間での激しい開発競争をするばかりではなく、時には大手企業が下位企業に対して提携するという例もあります。
いつでも知識をひけらかしてばかりいると、いざというときに知恵を借りることができなくなることも。「自分は実は真実の一部しか知らないのかも」という気持ちを大事に。
君主は自分の配下にしていながら献策や対処法を講ずる名士や参謀に謙っていました。最終決定は君主が行っていたわけですが「賢者を用いる力」の典型的な例だと思います。
ちょうど起業で重要なのは「自分より賢い人に、自分の部下になってもらう」こと | 小さな組織の未来学にて「部下を尊敬できなければ、部下をまとめることはできない」と、あります。そして対になるかのように優秀な人材は、よき理解者のためだけに働く | 小さな組織の未来学とも。
「組織の中で最も劣っているのは自分である」と、どんな地位にいても思っていれば、謙虚にもなれるし、争いをしても負けるからしないという考え方になっていくと思います。ただそこで卑屈になったりネガティブ思考になるのではなく、向上心への糧にしていかなければいけないですね。
[参考]
第六十八章 善く戦う者は怒らず。…善く人を用うる者は之が下と為る。 – 時すでにyas史
老子 字源解釈 68
善く人を用うる者は之れが下(しも)と為る

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