「幼馴染みとは簡単に縁を切らないように」故旧無大故、則不棄也

故旧は大故なければ則ち棄てず

―故旧無大故、則不棄也―

[原文](論語 徴子編)
周公謂魯公曰。君子不施其親。不使大臣怨乎不以。故舊無大故。則不棄也。無求備於一人。
[書き下し文]
周公魯公に謂いて曰わく、君子は其の親を施(す)てず。大臣をして以(もち)いられざるを怨ましめず。故旧(こきゅう)は大故(たいこ)無ければ、則すなわち棄てざるなり。備わるを一人に求むること無かれ。
[原文の語訳]
周公が魯公にいわれた。君主たるものは親族を見捨てるものではない。大臣をして信任のうすきをかこたせてはならぬ。古くからの臣下は、重大な理由がなければ棄てないがいい。一人の人に何もかも備わるのを求めてはならぬ。
[解釈]
上に立つ者の基本的な心得が箇条書きされていますが、今日の一言の部分は「昔馴染みはよほどのことがないかぎり見捨ててはならない」と説かれています。
家族は別として、自分が成長してきた過程を知っているのは幼馴染みです。だから客観的に短所も長所もわかってくれている貴重な存在なのです。→旧知の仲
なお、この一言の直後に 「一人だけに何もかも備わるのを求めてはならない」 とあります。ひょっとすると「幼馴染みならば自分のことは何でも分かってくれてるはず」という自分勝手な甘えから、自分が望むことをしてもらえない場合に「使えない奴だなぁ」と簡単に見限ってはいけない とセットになっているのかもしれません。
ちなみに「故旧(幼馴染み)」を大切にすべきという故事成語としては管鮑の交わり、竹馬の友、騎竹の交わりなどがあります。
[参考]
論語:微子第十八:10(原文・書き下し文・現代語訳) – Web漢文大系

[中国古典一日一言]

今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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