「役目を終えたら執着せず後進に譲る」四時之序、成功者去

四時の序、功を成す者は去る

―四時之序、成功者去―

[原文](史記 春秋戦国 秦)
蔡澤曰、四時之序、成功者去
[書き下し文]
蔡澤曰く四時(しじ)の序、功を成す者は去る
[原文の語訳]
蔡澤が言う、春夏秋冬が移り変わる(春が終われば夏がくる)ように、自分の役割を果たし終えたら、いさぎよく舞台から退くべきです
[解釈]
業績を積み重ねて好調な宰相に対する献言。
「トップのもとでリーダーとして大きな功績を挙げた成功者であっても、トップが交代すると功績があっても立場や状況が変わり、その末路が悲惨だった例もある。そうならないためにも、トップが交代する前に頃合いを見て引退した方がいい」というかなり思い切った提案です。
業績好調な組織でも、トップが交代すると有無をいわさず役員を刷新するケースもあります。実力がありながら突然解任された役員の行く末を案じてみましょう。
いつまでも現役バリバリでありたいものですが、後進に道を譲ることを決断する勇気も必要ですし、「終わりよければ全て良し」下降傾向に入る前の絶頂期に身を引く、引き際も美学です。
易経に「進むを知って退くを知らず」(乾 文言伝)、菜根譚にも「人に千日の好なく、花に百日の紅なし(期待はそう長続きしない)」とあります。全盛期はそう長く続かないという意味で、頂点を極めたら、次に引退のことを念頭に置かなければいけないのです。ですが、なかなかできるものじゃありません。
登山も登頂すると次には下山が待っています。だれも頂上には定住しません。さらに登山よりも下山のほうが難しいと言われます。無事に下山して、はじめて成功となるのです。
献言する側も勇気が必要です。できる人が退いた後の準備はきちんとできていないと言えません。見渡して後継者は育っているのか、もしくは自分こそ後継者にふさわしいのか、逆に問われた際にきちんと答えられないといけません。
いつまもで権力に執着する上司に皮肉めいたことを言うだけではいけません。
[参考]
四時の序、功を成す者は去る:原文・書き下し文・意解 言葉の散歩道19 | ナオンの言葉の散歩道

[中国古典一日一言]

今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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