「本質を見抜く力を」朝三而暮四

朝三暮四

―朝三而暮四―

[原文](列子)
俄而匱焉。将限其食。恐衆狙之不馴於己也、先誑之曰、与若芧、朝三而暮四、足乎。衆狙皆起而怒。俄而曰、与若芧、朝三而暮四、足乎。衆狙皆伏而喜。
[書き下し文]
俄にして匱し。将に其の食を限らんとす。衆狙の己に馴れざらんことを恐るるや、 先づ之を誑きて曰はく、若に芧を与ふるに、朝に三にして暮に四にせん、足るかと。衆狙皆起ちて怒る。俄にして曰はく、若に芧を与ふるに、 朝に四にして暮に三にせん 、足るかと。衆狙皆伏して喜ぶ。
[原文の語訳]
猿たちをだまそうとして、男が言うには、「お前たちにどんぐりを与えるのだが、朝に3つ夕方に4つにしたら足りるか?」と聞きます。すると猿の群れは立ちあがって怒りだしました。そこで彼は、急に言葉をかえて、「では、お前たちにどんぐりを与えるのに朝に4つ、夕方に3つにしたら 、足りるか?」と言いました。猿たちは皆、ひれ伏して喜びました。
[解釈]
結果的に違いがないのに、目先の利益に囚われて怒ったり喜んだりする猿の愚かさを笑った話です。
独善的であったり、八方美人で目先の人気取りだけに目が眩み、先を見据えずに思いつきで言動するトップには困ったものですが、それに扇動されてしまう支持者も同類です。
根本は変わってないのに首を挿げ替えただけで刷新したかのような印象を与えるのは一種の詐欺のようなものですね。それに気づかず「今度こそ大丈夫」とよく確認もせず同じ過ちを繰り返す人たちもいる訳です。厳しい目で見ればそういったことはできないはずなのですが。
以前に大手スーパーで「大幅割引」を謳っていながら、もとの売価を高く設定して、割引率は高いが、実質はそれまでと同じ価格で販売していて問題視されたケースもありましたね。オープン価格も。
目の前の利益に惑わされず、本質を見抜く力を養うことが必要です。
[参考]
『朝三暮四』 書き下し文・現代語訳(口語訳)と文法解説 / 漢文 by 走るメロス |マナペディア|

[中国古典一日一言]

今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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