「使い減らしし過ぎない程度に」直木先伐、甘井先竭

直木は先ず伐られ、甘井は先ず竭く

―直木先伐、甘井先竭―

[原文](荘子 山木篇)
直木先伐、甘井先竭。子其意者飾知以驚愚、修身以明汚、昭昭乎如掲日月而行、故不免也。
[書き下し文]
直木(ちょくぼく)は先ず伐られ、甘井(かんせい)は先ず竭(つ)く
[原文の語訳]
まっすぐな木は最初に切られ、甘い井戸水は最初に涸れてしまいます。突出して優れていると何かと利用されてしまうもので、結果的に長く活躍出来ないものです。目立たぬように生きる事が、長く活躍する秘訣でしょう。
[解釈]
甘井の水は利用者が多いので先に枯渇し、才能のある者は才能を使いきって衰えるのも早いということ。
競馬でも早い時期から活躍する馬は早熟馬として活躍期間も短かく早く引退する傾向がありますが、徐々に力を発揮していく晩成馬は息の長い活躍をします。「無事是名馬」とも言いますし。
講演会や勉強などの講師として引っ張りダコの人は、その忙しさのうちに自分で新たに勉強する時間を失ってしまい、いつしか時代に置いていかれる危険性があります。
翻って、こういった才能ある人を長く活かすのは周りしだいではないでしょうか。木にしても水にしても、周りが競って奪い合わなければ枯渇することはない訳で、その人自身のための時間をきちんと確保するように配慮すれば良いことです。そして才能が無いからといって見捨てるようでもまたいけないのです。
「器用貧乏」「何でも屋」のごとく「何事でもあの人に任せればやってくれる」とアテにされるだけになってしまっては、任されごとだけ多くなって使い捨てにされ、最後には実のない徒労感だけが残る危険性を感じます。
自分だけで被ることなく、周りの人とも協力を仰ぎ、自らを使い減らしし過ぎない程度がちょうどいいのかもしれません。
[参考]
漢字の大海 – 四字熟語/甘井先竭
「直木は先ず伐られる」|梶井厚志 コトバの戦略的思考|ダイヤモンド・オンライン

[中国古典一日一言]

今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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