「手順とポイントを抑える」物有本末、事有終始

物に本末あり、事に終始あり

―物有本末、事有終始―

[原文](大学)
物有本末、事有終始。知所先後、則近道矣
[書き下し文]
物に本末あり、事に終始あり。先後(せんご)する所を知れば、則ち道に近し。
[原文の語訳]
物には本末(本質と枝葉)があり、事には終始(始まりと終わり)がある。物事の先と後にすべき所を知れば、大学の道は近いのである。
[解釈]
手順とポイントさえ抑えれば、ほぼ失敗はないということです。始めるときに終わりを決めておく必要があればやる気も違ってきます。
物事には本当に重要な部分と枝葉末節があり、始めと終わりがありますが、何かをはじめる際に、何から取りかかるべきかを心得てから開始すれば、効率的で大きな成果を得ることができるということです。
今から取りかかる事柄において「最終形をイメージし、結果としてどんな成果を得られるのか、その上でキーとなるのはどの部分か」を明確にして理解する必要があります。
計画や段取りは重要です。全体像を把握できれば各工程の優先度が明確となります。その上で生産性の高い「仕事」の比率を上げ、処理する「作業」量をいかに簡略化して減らすかで成果は大きく違ってきます。
また「後始末」だけでなく「先始末」も意識的に行いたいものです。後回しにすることでチャンスを逸してしまうこともあるのです。
読書法でも「はじめに」「おわりに」「目次」などに目を通して、その本から得たいもの(目的)を設定してから読み始めることで、要点が目にとまりやすいといいます。目的がはっきりしてれば目次から必要な章だけを選べばよいですし。
子どもの習い事でも、始める前に「一定の成果をあげる」「この時期まで」といった、ある程度終わりの目安を決めておくのです。そして、その時点・時期に達したら、終了するか改めて終点を設定し直して継続するかを決めることで、ダラダラと続けることもなくなるのです。
飲食店でもキャパと調理能力を把握し、提供食数の上限を計算することができれば食材の無駄な仕入れを抑えることもできます。仕込みと調理・盛り付けの段取りがしっかりしていればスムーズに提供することができます。
[参考]
『大学』の書き下し文と現代語訳:6

[中国古典一日一言]

平成27年(2015年)5月1日から平成28年(2016年)4月30日までの今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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