「欲は身を危険にさらす」善摂生者、陸行不遇菑虎

陸行して菑虎に遇わず

―陸行不遇兕虎―

[原文](老子 第五十章)
善摂生者、陸行不遇兕虎、入軍不被甲兵。
[書き下し文]
善く生を摂する者は、陸行(りっこう)して兕虎(じこ)に遇わず、軍に入りて甲兵を被(こうむ)らずと。
[原文の語訳]
摂生家は山の中に出かけても猛獣に出会う心配がなく、軍隊に入っても鎧や兜を身につけない。
[解釈]
生きることに執着していなければ保身することも考えず、危険を犯すこともないということです。
出世欲が強いとリスクを犯したり、組織内で競争することになりますが、利他を優先して他と共存することで敵がいなくなり、生きながらえることができるのです。
こちらが敵意を持たなければ、相手も敵意を持つこともないということです。
自給自足分だけで満足できず、より多くの収穫物を得ようとすると、自然と未開の地を開拓したり、他人の土地を奪わなければいけなくなります。未開の地には獣がいますし、他人の土地には当然所有者がいて諍いが起こるのは当たり前です。
欲や執着心が強すぎると敵を作ってしまいます。あまりガメつかずに、生活するに足りる分くらいで満足できると本当はよいのかもしれませんね。でも安泰すぎてしまうと今度は向上心が無くなってしまい、だらけて心身ともに鈍ってしまいそうです…。
[参考]
老子・第50章・Lao-tzu, Chapter 50

[中国古典一日一言]

平成27年(2015年)5月1日から平成28年(2016年)4月30日までの今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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