「割り切って、減らす」人生減省一分、便超脱一分

人生一分を減省せば、すなわち一分を超脱す

―人生減省一分、便超脱一分―

[原文](菜根譚)
人生減省一分、便超脱一分。如交遊減便免紛擾、言語減便寡愆尤、思慮減則精神不耗、聡明減則混沌可完。
彼不求日減而求日増者、真桎梏此生哉。
[書き下し文]
人生一分を減省せば、すなわち一分を超脱す。如(も)し交遊を減ずれば便(すなわ)ち紛擾(ふんじょう)を免れ、言語を減ずれば、便ち愆尤(けんゆう)寡(すくな)く、思慮を減ずれば、便ち精神を耗(こう)せず、聡明を減ずれば、則ち混沌完(まったく)す。
彼(か)の日(ひ)に減ずるを求めずして、日に増すを求むるは、真に此の生を桎梏(しつこく)するかな。
[原文の語訳]
人生というものは、何かをほんの少し減らせば、その分だけ(世俗を)超脱出来る。もし付き合い事を減らせば、それは細々したことから解放され、言葉を減らせば過ちを減らすことができ、思案を減らせば精神的消耗もなくなるし、賢さを減らせば混沌の無い心で過ごせる。日々減らそうとせず、逆に増やしていこうとしている者は、事実、自分自身で自分自身の人生に手枷せ足枷せをしているようなものだ
[解釈]
人生というものは、いくらかでも減らすことを心がければ、その分だけ悩みから遠ざかることができる
身の回りをシンプルにすれば悩みが減る。物事に振り回されてはいないですか?
コミュニケーションにおいても無理に協調しようとせず「自分はコミュニケーションをとることが苦手な人間なんです」と周囲に伝えるなど、場面場面で、ある程度割り切った心を持てると悩みを減らすことができそうです。
短所があっても、長所で補えることができ、それで信頼を得られれば短所は短所と割り切って悩まずに済むのではないでしょうか。
前述のコミュニケーションにおいても「人付き合いは下手だが仕事はバッチリできる」と周囲に認識してもらえれば良いわけです。
一方で、斉藤孝さん著の「やわらかい頭の作り方:身の回りの見えない構造を解明する 」の中で人間関係を円滑にするためにも、相手は「オンリーワンの特殊な存在」だと認識して受け止めるとあり、前述とあわせて互いに意識をもつことが良い関係の秘訣になりそうです。
断捨離でも「使う、使わない」を割り切って、思い切り整理するわけですし。
余計なことを言わないも口数を「減らす」ことからです。だからといって大事なことも言わないと本末転倒ですが。
[参考]
菜根譚 超訳:■後集131項

[中国古典一日一言]

今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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