「昔は昔、これからも守りながらも正しく進歩していく」草創与守成熟難

草創と守成といずれか難き

―草創与守成熟難―

[原文](貞観政要)
太宗謂侍臣日、帝王之業、草創与守成孰難
[書き下し文]
太宗、侍臣に謂いて曰く、「帝王の業、草創と守成と執れが難き」。
[原文の語訳]
唐の太宗(李世民)は、側近に尋ねた。「帝王の事業の中で、創業と守成といずれが困難であろうか
[解釈]
今日の一文は、二人の家臣に対するこれまで築き上げてきた大変さと、それを維持していくこれからのどちらが大変かという問です。
二人の家臣はそれぞれが大変であると答え、太宗自身もどちらの大変さも理解した上で「どちらも困難だが、創業の困難はすでに過去のもの、これから先の守成の困難を乗り切ろう」と締めました。創業の気ばかり強くても経営を危うくするし、だからといって守成にばかり走っていては停滞を促し将来を危うくする。これからは守りながらも正しく進歩していく大変さを見抜き、さらに最後は両者への協力要請も怠っていません。
ここは単純に「草創か守成」の困難さの比較だけではなく、創業者自身としての守成期に起こりうる過信や傲慢への注意喚起ではないでしょうか。
できる人は過去の栄光にいつまでもしがみつくことなく、心機一転、気を引き締めて次のステップへ向かっていきます。
いつまでも「あれをやった、これをやった」と過去の業績を誇り、これから先も自分のすることに間違いがないと独善的となって、周りの意見を取り上げないトップでは困ります。
[参考]
《貞観政要・その一》 君道第一/創業と守成いずれが難きや

[中国古典一日一言]

今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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