「目一杯にはしない」欹器以満覆

欹器は満つるを以って覆る

―欹器以満覆―

[原文](菜根譚 前集)
欹器以満覆、撲満以空全。故君子寧居無不居有、寧処?不処完。
[書き下し文]
欹器(いき)は満つるを以って覆(くつがえ)り、撲満(ぼくまん)は空しきを以って全うす。故に君子は寧(むし)ろ無に居るも有に居らず、寧ろ?(けつ)に処(お)るも完に処(よ)らず。
[原文の語訳]
欹器はいっぱいになるとひっくり返り、撲満(貯金玉)は空であるから存在することができる。だから君子は無の境地に身をおき、不完全な状態に甘んじていることが安全である。
[解釈]
湯島聖堂の大成殿に欹器が置いてあり実際に水を入れて試すことができます。空の状態では傾いてる器に水を入れていくと半分ほどのところで水平となりますが、やがて満杯になると器はひっくり返り、中の水がこぼれ落ちて再び空の状態となるのです。
貯金箱も満杯にならないうちは壊されずにいますが、満杯になってしまうと中身を取り出すために壊されてしまうのです。中に余裕があるから存在意義があるのです。
山の頂に上がると残りは下りしかないのと同じですね。満ち足りてしまうと向上心がなくなってしまいます。また、なんでも独占しようとすると綻びや漏れがでてくるものです。
完璧主義者は何かにつけて気が気じゃなく、常日頃。心底疲れているのではないでしょうか。できる人は利己主義ではなく利他主義、ベストよりもベターなのです。
組織の能力を越えた生産計画を立ててしまうといずれ生産ラインがパンクしてしまいます。
私腹を肥やすにも自らの際を超えてしまうようなことになると反感を買ったりするなど、いずれ転落していくのです。
[参考]
中国古典 菜根譚
菜根譚 前集 051条-100条(漢文、読み仮名、現代語訳) | 菜根譚(さいこんたん)ガイド
菜根譚 超訳:■前集64項

[中国古典一日一言]

今日の一言は「中国古典一日一言」守屋洋(著)から、同月同日の一言をもとに自分なりに追記や解釈して掲載しています。

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