平成20年4月7日10時30分から(第一会議室)

本日は1点、COP9出席のための、私の海外出張について報告をさせていただきます。
2010年、愛知・名古屋でのCOP10開催が、今月、ドイツのボンにおいて開かれますCOP9で、正式に決定をいたします。
私は、26日にボン市へ入りまして、26日から28日、月曜日から水曜日まで「国際市長会議」に出席をいたします。これは、生物多様性の保全において先導的な取り組みを行っている地方自治体の代表者が参加するものでございまして、現時点で、世界各国から25都市以上の都市の参加があると聞いております。
会議では、参加各都市と、都市における生物多様性保全のための経験や計画について情報交換をしてまいりたい、このように考えております。
ご承知のように、都市というのは、この地球上において、面積の僅か2%を占めているに過ぎません。にもかかわらず、自然資源の約75%を消費しているといわれております。そういった意味で、「生物多様性の持続可能な保全と利用」という世界的な課題におきまして、都市の果たすべき役割は極めて重要であると、このように思います。
今回、特に訴えてきたいと考えておりますのは、「日本固有の文化」を見つめ直す、こういうことでございまして、わが国には、里山あるいは、自然と共生するという縁側の発想と言いますか、自然を活かし、生活に巧みに取り入れてきたと、そういった伝来の知恵や技があります。こういった文化を継承し、地球の未来に向かって生かしていくことを、名古屋の「都市の意思」として示してまいりたいと思います。
先日、私は恵那の町で、ほとんど暖房用のエネルギーを使わないで暮らしているという方とお会いをし、1時間半くらい話をしました。なぜそういうことができるか、まったくわかりませんでしたが、家の造り方でそうなると、おっしゃるのであります。「それは大変金のかかる家ですか?」と言ったら、そうではないという話でありましたので、一度現物を見てきたいと思っていますが、そういった市民一人ひとりの行動、ライフスタイルの変革が、積もり積もって地球環境を守っていくと、こういうふうに思っております。また、環境への配慮が経済的な価値につながる、こういう時代でございますから、環境に対する技術革新が重要であると、こういったことについても訴えてまいりたいと思っております。
引き続きまして、29日、木曜日に開催されます、「COP9 閣僚級会合」にも出席をさせていただきます。これは、クリチバ市、モントリオール市、ボン市の各市長さんとともに、国際市長会議の運営委員という立場で、前日までの議論を深めた世界各都市を代表して参加をいたします。
この中で私は、これまでの都市の経済活動が地球資源の大部分を消費し、結果として生物や植物の連鎖を損なってきたことを真摯に反省し、「名古屋も地球にある」ということをあらためて見つめなおして、都市の持続的発展を可能とするライフスタイルやビジネススタイルを提案したい、このように考えております。「名古屋も地球にある」というのは、1997年に、COP3の時に都市の代表として名古屋宣言を発表した時に使った言葉でございます。このCOP9の会場におきましても、このことを申し上げたい、このように思っております。
現地では、日本政府、そして本市とともに誘致委員会を構成する愛知県、名古屋商工会議所、中部経済連合会と協力いたしまして、締約国へ最後の働きかけを行いまして、30日、会議最終日でのCOP10愛知・名古屋開催決定という大きな成果を携えて帰国できるよう、全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
報告は以上でございますが、もう1点お話しをさせていただきます。
私のボンへの海外出張に先立ちまして、今月22日、木曜日、国連の定めた「国際生物多様性の日」の記念行事が開催されます。栄の電気文化会館においてシンポジウムを開催するほか、東山動植物園でも、東山動植物園再生検討委員会の座長を務めていただき、現在は東山動植物園再生専門委員をお願いしております中川志郎先生の講演会などを実施をいたします。
ぜひ多くの市民の皆様に参加していただければと思っております。
国際会議という舞台で、国、自治体、産業界としての大きな取り組みをアピールする一方、市民一人ひとりが生物多様性について身近な視点から考え、取り組むことができますよう、問題意識を共有する。この両方を車の両輪として、推し進めていくことが大事だと、このように考えております。
生物多様性というものは、一言で言うのは難しい、その難しいことを、どのように訴えてくることが極めて大事かなと思います。私自身は昨日、あるテレビ局のテレビを見ておりまして、世界の全人口約60億ですか、60億のうち7割の方が電話を使ってないということを知りまして、大変びっくりいたしました。そういったことをずっと延長していくと、都市というのは、多くの地域のいろんな面の犠牲の上になりたっているのではないかと、こういうように思います。そういった意味で、持続的発展ということが極めて大事になる。そういう都市づくりはどうするのかと、あるいはそういう中での市民生活はどうなるのかと、こういった観点での議論をしてくる必要がある、こんなふうに思っております。
名古屋市:平成20年5月7日 市長定例記者会見(市長の部屋)
http://www.city.nagoya.jp/mayor/kaiken/h20/nagoya00054448.html