[中日]<「涼」を届ける> 有松絞の浴衣(名古屋市緑区)(2021/8/17掲載)

明るい色合いの有松絞の浴衣を着る村口さん=名古屋市緑区有松で

明るい色合いの有松絞の浴衣を着る村口さん=名古屋市緑区有松で

江戸時代の面影を残す名古屋市緑区有松の旧街道。汗ばむ日差しの中、時折吹くそよ風が、浴衣の裾をふわりと揺らした。「絞りの浴衣は生地に凹凸があり、空気が入って涼しい。うちは『板締め絞り』が中心なので凹凸は少ないけれど、生地で(肌に張り付く感じが少ない)シャリ感を出しています」。有松絞のブランド「まり木綿」を手掛ける村口実梨(まり)さん(32)は、涼しさへの工夫を明かす。
かわいらしい柄や色合いの有松絞の浴衣=名古屋市緑区有松で

かわいらしい柄や色合いの有松絞の浴衣=名古屋市緑区有松で

四百年続く有松絞の古典的な技法を生かしながらポップな色使いで知られ、同世代の女性らの人気を集めるまり木綿。生地を折り畳み、三角形や四角形の小さな板で挟んで染める「板締め絞り」で、雪の結晶のような美しい柄を表現する。有松絞の浴衣は丈夫で柔らかな知多木綿が主流だが、「肌に張り付く感じを軽減したい」と、シャリ感があり、足さばきしやすい麻交じりの伊勢木綿を生地に使っている。
新型コロナウイルスの影響で、「有松絞りまつり」は二年連続で中止に。全国の花火大会や夏祭りも軒並み中止になり、今年は浴衣を染めなかった。ただ、七月に有松の有志らが開いた「有松ゆかたまつり」は久々に和の装いを楽しむ人たちでにぎわい、名鉄有松駅近くのまり木綿の店舗にも女性客らが浴衣を試着しに訪れているという。
村口さんは「長引く自粛生活で浴衣を着る機会が減ったからこそ、浴衣への思いが高まっていると思う。コロナ禍が終わったら、新しい柄の浴衣を染めたいですね」と話す。
(文・松野穂波、写真・篠原麻希)

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<「涼」を届ける> 有松絞の浴衣(名古屋市緑区) :中日新聞Web
https://www.chunichi.co.jp/article/312363?rct=tag_photo
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