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「合葬式墓地」選ばれる理由 名古屋市が開設、応募多数<ハッシュタグ#なごや>(2023/9/24朝刊)

複数の人の遺骨を一緒に埋葬する「合葬式墓地」が今年、緑区鳴海町笹塚の墓地公園「市みどりが丘公園」に完成する。近年需要が高まっている埋葬方式で、名古屋市営墓地では初めての開設。高齢化社会の中で、個人や家族で建てる従来の墓は減少傾向にある。先祖の墓をお参りする人も多い秋の彼岸に合わせ、合葬式が選ばれる理由を探った。
「合葬式墓地」選ばれる理由 名古屋市が開設、応募多数<ハッシュタグ#なごや>:中日新聞Web
複数の人の遺骨を一緒に埋葬する「合葬式墓地」が今年、緑区鳴海町笹塚の墓地公園「市みどりが丘公園」に完成する。近年需要が高まっている埋葬...

豊明市との市境近くに位置するみどりが丘公園。9月中旬に園内を歩くと、公園を囲む木々のざわめきとセミの声が聞こえ、都心部とは違ったゆっくりとした時間が流れる。同園の合葬式墓地は木々を墓標とする「樹林型」。予定区画に足を運ぶと、シダレザクラやウメなどの若木が風に揺れていた。

同公園の合葬式墓地は、共同の埋蔵墓を個別埋蔵墓が囲む構造で、いずれも遺骨は「カロート」と呼ばれる容器に収められる。個別にはそれぞれ1、2体の遺骨を収め、20年たつと共同埋蔵墓へ移される。初めから共同埋蔵墓への納骨を選ぶこともできる。昨年度に共同は8千体分、個別は4千体分を整備した。

今年5、6月に使用者を募集したところ、750体の枠に約2倍の応募があった。家族の遺骨を収める場所を探している人のほか、自身の最期に備える「終活」中の人からの応募も。募集枠を超える応募があった一方、「応募数が多いのは予想通りだった」と、公園の管理を担当する市緑地利活用課、太田雅也主査(41)は話す。

みどりが丘公園には従来型の墓地が2万6千区画あるが、近年は墓を撤去して区画を市に返還する「墓じまい」を希望する遺族が増えており、貸付数は年々減少。墓じまいの相談は2年前から年間100件を超えている。理由を聞くと「民間の合葬式墓地に移す」と説明する人が多いという。
従来の墓は、遺族が除草や掃除などの「墓守」をする必要があり、遠方に住む場合などは負担が大きい。毎年の管理料が発生するなど費用面もネックとなっている。
埋葬方法として長い歴史を持つ合葬だが、近年、費用の安さや継承が不要であることなどの利点から再び注目されている。市内でも民間の寺院がロッカー式の納骨堂で永代供養する例も増えてきているほか、2015年には長久手市の「卯塚(うづか)墓園」に樹木型合葬墓が設けられるなど、公営墓地での例も増えてきたことから、名古屋市も16年ごろから検討を進めてきた。
みどりが丘公園では従来の墓地の未使用区画は使用料85万円から、年間管理料は3500円から。一方、合葬式墓地の個別埋蔵墓は使用料20万円で、その後の管理料や墓石の建立も必要ない。管理する市も、継承者がおらず管理料が払われない「無縁墓」の発生を防げるというメリットがある。
人生の締めくくりに向けた「終活」という言葉が一般的になる中、家族に負担をかけたくないとして選ばれるようになっている合葬式墓地。太田さんは「社会情勢によって需要は変わる。利用者のニーズを踏まえて整備の在り方を考えていきたい」と話す。
みどりが丘公園では10月10日まで、市内在住者を対象に合葬式墓地の使用者を募集している。応募多数の場合は抽選し、当選者は来年3月21日以降、遺骨の埋蔵手続きができる。

<#記者から>

子どもの頃、疑問が一つあった。「亡くなる人はどんどん増えるのに、全員がお墓に入ったら町はお墓だらけになってしまうのでは:」。四角く囲われた区画に墓石が立つ、われわれがイメージする形のお墓が減少傾向にあると知り、小さい頃の不安は解消された一方、少し寂しさも感じる。
先祖代々住んできた家を引き払い、利便性の良い集合住宅へ引っ越す。お年寄りが住まいを移す例はよく耳にするが、お墓にも似たことが起こっているとは知らなかった。多くの人に囲まれて過ごす死後というのも、悪くないかもしれない。
(芝野享平)

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